2020年は、改正後の民法が施行される予定です。
今回の民法改正は、不動産に関するポイントも含まれていて、今後の契約に少なからず影響が及ぶことが予想されます。
今回は、民法改正によって影響する賃貸借契約のポイントについて解説します。
民法改正による賃貸借契約の影響① 敷金と原状回復のルール
これまでの民法では、敷金や原状回復について明確なルールが定められていませんでした。
しかし今回の民法改正により、しっかりとルールが定められることになったのです。
具体的には、借主が家賃を滞納など賃貸借契約時に交わしたルールに従わなかった場合、敷金はその弁済に充てるためのものと明確に定義したのです。
また、契約終了に際し退去するときは、敷金から弁済に充てるための金額を差し引いた額を借主へ返すことも義務付けられました。
そして、退去時にトラブルとなりやすい借主の原状回復義務についても、これまでは国土交通省が定めた賃貸借契約のガイドラインに沿うものでした。
しかし今回の民法改正で、原状回復の範囲には通常消耗や経年劣化が含まれないことが明らかとなりました。
ただし、原状回復の義務に関する規定はこれまでどおり任意規定のままなので、賃貸借契約時に大家さんが特約を設けることは今までと同様に有効です。
民法改正による賃貸借契約の影響② 連帯保証人の保護
今回の民法改正で、賃貸借契約に関して大きく変わったもう一つのポイントが、連帯保証人に関する規定です。
これまでは、借主が家賃を滞納した場合に連帯保証人が立て替える金額の上限が設けられていませんでした。
しかし民法改正後は、賃貸借契約締結の際に連帯保証人がいくらまで支払うのか上限を定めることが義務となり、定めなければ契約が無効となります。
ただし、上限額の水準は明文化されていないため、この部分は引き続きケースバイケースとなるでしょう。
また、連帯保証人から大家さんへ家賃の支払い状況の問い合わせがあった場合、速やかに回答することも義務づけられました。
今までは「個人情報なのでお伝えできません」と断られていたものが、民法改正後は同じ理由で返答を拒否できなくなります。
民法改正による賃貸借契約の影響③ 建物の修繕
今回の民法改正では、借主の修繕権も新たに盛り込まれます。
2020年からは、借主が住んでいる賃貸物件で何かしら修繕が必要だけど大家さんが応じてくれない場合や、急いで修繕しなければいけないなどの事情が起きたときは、借主が修繕しても良いと規定されています。
もし借主が修繕したときは、かかった費用を大家さんへ請求することも認められています。
ただ、あまりにも修繕費用が高額のときや、大家さんに修繕を依頼したものの未対応の期間がどのくらいだったのかによって、借主の修繕が妥当だったと認められるかは決まっていません。
これも原状回復の義務と同じく、ケースバイケースの判断となるでしょう。
まとめ
2020年の民法改正によって、賃貸借契約の内容に影響を与える3つのポイントをご紹介しました。
2020年以降、新たに賃貸物件を契約するときや契約更新を行う時は、ぜひ参考にしてくださいね。
東京都内の賃貸物件探しは、株式会社イデシアまでぜひご相談ください。