税金の分類
現在、日本には50種類ぐらいの税金がありますが、大きく分けると国が税金をかけてくる「国税」と地方自治体が税金をかけてくる「地方税」の2つがあります。
国税の主なものには「所得税」「法人税」「消費税」といったものがありますし、地方税には「住民税」や「固定資産税」「たばこ税」などがあります。
また、「直接税」と「間接税」というように税金を分類する場合もあります。直接税は税金を負担する人と納める人が同じもので、所得税がその代表例です。
一方、間接税は税金を負担する人と納税する人が異なるもので、消費税や酒税が該当します。これらは製造販売業者が納税する形になっているのです。
個人に関わる税金
国税と地方税をさらに細かく分類すると、「個人に関わる税金」と「法人に関わる税金」とに分けることができます。このうち、まず個人に関する税金についてご説明しましょう。
個人にかかる税金で最も額が大きいものは所得税で、個人がその年の1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に課せられるものです。所得には給与やボーナスなどの給与所得、退職金などの退職所得、不動産から得られる不動産所得などがありますが、それぞれ所得金額に応じて課税される仕組みです。
このほか、個人住民税や個人事業者に課せられる個人事業税なども個人にかかる税金です。
法人に関わる税金
一方、株式会社や有限会社、公益法人などの法人の所得に対してかかる税金を「法人税」といいます。*1
個人の所得税と異なるのは、法人税の場合はその法人が定款などの規則で定めている事業年度の所得に対し、課税される点です。また、個人の所得税は所得が多いほど税率が高くなるのに対し(超過累進課税)、法人税率は原則として一定です。
このほか、法人に対しても「法人住民税」や「法人事業税」といった地方税が課せられます。
*1:平成18年4月施行の「会社法」では、株式会社設立の条件を緩和するとともに、新しく有限会社を設立することができなくなりました。
日常生活に密着した税金いろいろ
収入・消費に関わる税金
すでに述べたように、税金には様々な種類があります。ここでは主に収入・消費に関わる税金ついて説明します。サラリーマンが給与や退職金で得た収入や、個人事業者が商売で得た利益には、所得税がかかります。また、配偶者がパートをしている場合も収入は給与所得と見なされますので、年間収入が103万円をオーバーすると所得税がかかります。一方、消費に関わる税金の代表例は消費税です。モノの消費やサービス提供全般に対し課税されるもので、1989年に導入され、1997年4月から税率が現在の5%(そのうち1%は地方税)になりました。価格上乗せの形で、最終的にモノやサービスを購入する消費者が負担していますが、納税自体は小売り業者や製造業者などの事業者が行うように決められています。
所得税とは
前述のように、個人が様々な所得(利益)を得たときに国に納める税金が所得税です。もちろん、所得全額が課税対象となるわけではありません。各個人(世帯)の消費生活面の事情を考慮して、配偶者控除や扶養控除、医療費控除など、所得金額から一定金額を差し引く制度がある(所得控除)ほか、所得金額が増えるほど税率が高くなる超過累進税率を採用し、各人の負担力に応じた税金が課せられています。ただ、国の財政事情が悪化しているため、課税対象者を広げるなどの新たな対策を打ち出すべきだという声も強まっているようです。
住民税とは
住民税は「都道府県民税」と「市区町村民税」の総称です。前年の所得に応じて、翌年の6月からサラリーマンの場合は給料から天引きされ、個人事業者 などは年4回に分けて納付する仕組みになっています。ただし、生活扶助を受けている人や障害者、学生のように所得のない人、寡婦(夫)で前年の合計所得が 125万円以下の人は非課税になっています。
相続税とは
相続とは人が亡くなったとき、その故人に関わる財産のすべての権利と義務を故人の配偶者や親族が受け継ぐことを指します。財産などを受け継いだ人を相続人といい、受け継いだ財産を相続財産といいますが、これに課せられるのが「相続税」です。
亡くなった人の財産を受け継ぐのに、なぜ税が課せられるのかという疑問も出るかもしれませんが、これは相続によって過度の富の集中が起きることを調整するという目的や、故人が生前に財政上の特典を利用したなど、あるいは課税もれがあったかもしれないため、あらためて一生分の所得税を清算するということに基づいています。
ただ、故人が借入金などの債務を残したまま亡くなっている場合は、その債務を遺産額から差し引くことができますし、借金しか残らない場合は、故人が亡くなってから3ヶ月であれば相続を放棄することも可能です。
相続税の計算の流れですが、まず相続財産から各種債務や葬式費用などを差し引き、課税価格を決めます。相続財産に生命保険金や死亡退職金などが含まれている場合は、一定額が控除されます。
次に課税価格から基礎控除を差し引き、課税遺産総額を決めます。基礎控除額は「5000万円+1000万円×法定相続人数」で算出します。法定相続人とは、被相続人(故人)の配偶者と血のつながった親族というように民法で定められています。
さらに法定相続分に従って課税遺産総額を分け、税率表(通算表)を使って各人の相続税額を算出し、法定相続人全員のそれを合計したものが相続税総額となります。これを相続した割合にあわせて分配します。最後に、未成年者控除や障害者控除など各種の税額控除を差し引いて、最終的に納める相続税額が決まることになります。
みなし贈与と非課税財産
一方、はっきり贈与であるとされるもの以外に、贈与とみなされる「みなし贈与」というものもあります。代表的な例として、以下の3つが挙げられます。
・掛け金を自分が負担していない生命保険などの保険金を受け取った場合
・著しく低い金額で財産を譲り受けた場合
・借金などの債務を免除してもらった場合
これらは課税対象となります。ただし、110万円を超えた財産をもらっても贈与税が非課税となる場合があります。例えば、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除を受けた場合や、父母や祖父母からマイホームの取得資金の贈与を受けた場合は贈与額のうち、550万円までは無税となります。また、外国にある財産を取得した場合でも、その国で贈与税を納税していれば課税されません。
財形・生保・損保の税金の話
マル優適格とは?知っておきたいマル優
寡婦、身体障害者などに対して、一定額までの貯蓄を非課税とする優遇制度をマル優(少額貯蓄非課税制度)と言います。*3
そして、マル優適格と呼ばれる銀行預金、中期国債ファンド・公社債投資信託などの債券貯蓄商品は、それぞれ元本合計350万円まで非課税となります。また、郵便貯金や国債などでもそれぞれ350万円の非課税枠があり、合計1050万円までは非課税となります。
*3:従来のマル優対象者だった65歳以上の高齢者は、平成18年1月からの制度改定で、適用を外されています。
財形にも税金はかかる一般住宅年金
財形=財形貯蓄とは、サラリーマンや公務員などの勤労者のみが契約できる賃金からの天引き貯蓄のことです。財形には一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の三種類がありますが、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の2つについては、あわせて元本550万円までの利子が非課税となります。これは両方とも加入している場合でも同じです。ただし、預金を年金貯蓄や住宅貯蓄以外の目的で使用すると、非課税の扱いが消えて課税対象となってしまいますので、要注意です。
生保・損保と税金について
生命保険金のうち、死亡保険金については契約者と被保険者(死亡者)が同一の場合、保険金を受け取る相続人に相続税がかかります。また、契約者が自分を受取人にして家族に保険金をかけておき、その家族が死亡した場合は、所得税と住民税もかかります。契約者、被保険者、受取人が全部異なる場合は、受取人には贈与税がかかります。
満期保険金では、契約者=受取人の場合は住民税と所得税がかかりますし、契約者と受取人が異なる場合は、贈与税がかかります。
損害保険金の場合は、火事や災害の際に受け取る火災保険金などは基本的には非課税です。ただ、その他の損保商品については、保障倍率が高いため、所得税、住民税のいずれもがかかります。
証券型商品と税金について
株式や社債などの証券型商品も配当や売買益などが課税対象となります。株式は配当を受け取ると、10%の源泉徴収が行われ、売買で得た利益に対する 課税も10%となります(配当金に対する税率は平成20年4月1日、売買益に対する税率は平成20年1月1日から、それぞれ20%になりました)。
また、社債は利子に対しては20%の一律源泉分離課税となり、償還差益は雑所得として総合課税対象となります。(平成19年12月31日までは税率 10%)国債と金融債についても種類によって細かな相違点はありますが、基本的には償還差益が雑所得とみなされ、課税対象となるという点では共通しています。